2009年 05月 28日
先週、無声映画とエレクトロ音楽でのコンサートに行きました。 私の住んでいるリヨンにはINSTITUT LUMIEREというリュミエール兄弟の映画館と映画博物館があるんですが、ここではたまに無声映画の映画コンサートをするのです。 ◆INSTITUT LUMIEREのサイトはこちら。 上のはINSTITUT LUMIEREの映画コンサートのチラシです。 このサイレント映画コンサートはles nuits sonoresというイベントの一環でした。les nuits sonoresというのは、2003年から毎年5月にリヨンで開催されているもので、エレクトロニクス系の音楽イベントです。大抵は5月末に3日間やっていて、有料もしくは無料でエレクトロニクス系の音楽のコンサートや、アペリティフを飲みながらグループ演奏を聞いたり、ローヌ河のところでコンサートがあったりという感じです。 私はあまりエレクトロニクス音楽ファンという訳ではないので詳しくはありませんが、好きな人は結構このイベントを楽しみにしていて、リヨン周辺の県の人もわざわざこのイベントのためにリヨンに来たりもするみたいです。 ◆ les nuits sonores の公式サイトです。 les nuits sonores 前置きが長くなりましたが、INSTITUT LUMIERE主催の映画コンサートは普通はピアノ伴奏とかオーケストラとかクラシックの路線が多かったのですが、今回はエレクトロ音楽との組み合わせということでどんなのだろうと楽しみにしていました。 そして結果は予想以上にとても良かったです!エレクトロニクスといってもキーンとうるさいとかそういうのではなくて、コンピュータで音を創れるという利点が生きていていて、音が自由に飛び回っているという感じでした。 映画の方は一本目がドイツ・フランス映画Vampyr 吸血鬼。 この映画は全体的に映像としてとても美しいものでしたが物語の筋が分かりにくい所もありました。不気味だけど美しい映像で、幻想的な雰囲気が際立っていましたね。 吸血鬼の呪いについての本を読みながら、それが字幕になっているので、ああ吸血鬼っぽくなってきたなと思わせてくれます。 エレクトロ音楽がとても映画にマッチしていました。次の映画との幕間の間に他の人も興奮して音楽がとても良かったということを話しているのが聞こえてきました(笑)。映像が音楽のために創られているといっても過言ではないぐらい音楽が映画に合わせて創られていて、よく研究したんだろうなと感心しました。「この映画のためにずっとやってきた」と始まる前にグループの代表の人が言っていましたが、無声映画のための伴奏をエレクトロでここまで仕上げるというのも面白いですね〜。 次の映画はソ連時代の1928年につくられた映画。 仏題 L'Homme à la caméra, 英語題名 Man with a Movie Camera, 邦題 カメラを持った男, ロシア語原題 Человек с киноаппаратом 監督はドキュメンタリーの父と言われるジガ・ヴェルトフ Dziga Vertov。 上の映像はロシア語wikipediaより。映画ポスターです。 これは素晴らしかった! 実はこの映画についてあまり知らなかったのですが、久しぶりにこれは凄いと思った映画でした。 映画好きにとっては有名な映画のようですね。 一本目の吸血鬼よりもこちらの作品の方が私は好きでした。というより圧巻です。演技ではない本物のもつ威力に圧倒されたという意味で。 これは映画ではなく「活動写真」という感じがしました。 演技ではない、本物の被写体の放つ生命感というんでしょうか。シナリオもない映画。ドキュメンタリーではないけど、これぞドキュメンタリーの原点。 本当の姿の凄さですね。 「写真」と「活動写真」は違うということをこれほどリアルに表現している映像はないのではないかと思います。しかもまたしてもエレクトロ音楽が面白いぐらいに映画に合っていて、このDVDが欲しいとさえ思ってしまいました。DVDがあることはありますが、私が見たのはコンサートの生演奏をしていたグループとは違うエレクトロのバージョンのDVDが出ています。 ◆参考までに該当DVDをリンクしておきます。 L'Homme à la caméra 現実でありつつ現実ではない、映像でしか作り得ない世界。 久しぶりに何かを感じた映画を見ました。音楽の貢献も大きかったと思います。 ◆ジガ・ヴェルトフ Dziga Vertovについてwikipedia日本語版の説明はこちら。 ジガ・ヴェルトフ Dziga Vertov INSTITUT LIMIEREのサイレント映画コンサートは毎回いいものばかりですが、生演奏なのでその時の演奏と一緒の音楽をもう一度聞いてサイレント映画を観たいと思ってもそれが叶わないのが残念です。 それにしても、劇場の大画面でサイレント映画を見て、コンサートの生演奏というのはサイレント映画好きにはかなり贅沢な企画です。
by mizuhofr
| 2009-05-28 08:42
| Cinéma 観
|
アバウト
七年間フランスにいましたが、2009年8月に日本に帰ってきました。日々の生活のメモなどを気の向くまま書いています。過ぎ去っていく日々の備忘録。どこにいても La vita è bella ! by mizuhofr タグ
France 仏蘭西(47)
Repas 食(28) Vie quotidienne 日々(26) Japon 日本(24) Cinéma 映画(16) Pensée 考(8) Musique 音楽(5) Photos 写(5) Voyage 旅(4) Asie 亜細亜(4) Santé 健康(3) Italie 伊太利(3) Kichijoji 吉祥寺(3) Livres 読(2) Tokyo 東京(1) Démarches 事務(1) Expositions 展覧会(1) 以前の記事
Bienvenuようこそ私のブログへ!
お気軽にコメントを残していってください。ただし、私が確認してからコメントを公開する方式にしています。
私にだけ見えるようにコメント投稿することもできます。 ◆前に書いていたブログはコチラです。フランス、リヨン情報など。 ◆MY BLOG LIST ↑私のブログリンクです。読んでいるブログなど。更新順にブログが表示されています。 ランキングに参加してみます。本人のやる気のためにクリックしていただけると嬉しいです。 ブログはホームページの一種で書籍と同じ著作物です。 この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。 MÉDIA TF1 Libération Radio France Internationale Aujourd'hui le Japon NHK online YOMIURI online CINÉMA INSTITUT LUMIERE Digital Meme MUSIQUE Radio Classique NOSTALGIE CULTURE Maison Franco-Japonaise Office National du Tourisme Japonais フォロー中のブログ
検索
ライフログ
カテゴリ
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||